「イソップ寓話」から学ぶ?データ分析の心得

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『酸っぱい葡萄』とデータ分析者の落とし穴

組織開発、マーケティング、ピープルアナリティクス(PA)などにおいてデータ分析が重視され、データ分析者の存在価値は高まっています。しかし、データ分析者としての努力があらぬ方向に行くと、本来の目的である組織開発、マーケティング等を失敗に導いてしまうことがあります。

「酸っぱい葡萄」はイソップ寓話の一つで、腹を空かせた狐が、たわわに実ったおいしそうな葡萄を見つけ、それを食べようとして何度も懸命に跳び上がるが、木の高い所に葡萄があって届かない。最後にはその悔しさから「どうせ酸っぱくてまずいに決まっている。誰がこんな葡萄食べるものか!」と吐き捨てるように残して去っていった・・・という話です。

そこから生まれた表現が“sour grapes”。「負け惜しみ」という意味の表現です。しかし、この「くだもの」と「高低」に関係した表現は他にもあります。それが最近営業やマーケティングの世界でよく耳にする“low-hanging fruit”です。(直訳すると「低いところにぶらさがっている果物」)「大した努力をしなくとも達成できる目標」のことを指すと言っても良いと思います。反対語は“Cherry Picker fruit”(直訳するとチェリーのように高い木になる果物」でしょうか?)で「達成がすぐにはできない困難な目標」のことです。

“low-hanging fruit”は時に改善活動(TQC)やコンサルタントのアドバイスとして「まずは手の着けやすい小さく、簡単な問題から・・・」というような場面で良い意味で用いられる表現ですが、逆に「苦労せずにおいしいところだけ取っていく人」という意味で「人はどうしても解決しやすい問題から取り組み始めてしまうもの・・・」という意味でも用いられます。

データ分析を行う人(人事担当者・マーケッター・経営企画等)は“low-hanging fruit”という、つい陥りがちな落とし穴を避けなければなりません。

データ分析者がよく陥る落とし穴とは?

その落とし穴とは、データ分析のベテランの方にはないことですが、データ分析の経験が浅いとついデータの見せ方(ストーリー・テリング等の手法)や見える化に夢中になってしまい、データ分析を行うにあたりとても大切なことを疎かしてしまうことです。


つまり、色合い、写真、イラスト、キャッチコピーを考え、スキルを駆使し、Web上のどこかで知った知識を使うことに頭がいっていて、本来最も重要な「データ分析より得られる洞察そのものの質をブラッシュアップする」ということを疎かにしてしまうのです。

データ分析の結果を決定者にわかりやすく伝えるというのは確かに重要です。そのための効果的な手法が大切なのも確かです。しかし分析の手法や、前提が間違っているのに、それを見事なプレゼンで伝えることにより、決定者がその分析の結果を信用し、それを元にした意味のない議論に時間をかけたり、大きな金銭の投資をしてしまうということは何としても避けなければいけません。


データ分析者の正しい心得と組織のもつべき仕組み

例えば、AとBという2つの市場があるとします。Bの方が自社にとっては良いという洞察を導き出したとします。その時に、

・本当にAとBという比較に意味があるのか?
・そもそも分析の仕方はそれで良いのか?
・元になっているデータは正確なのか?
・データを作成する過程に問題はないのか?

などといったことを調べることに時間をかけるのが分析者本来の仕事で、「どのようにしてBの市場の方が良いかを見せるか?」に時間を使うことではありません。

ではここで良いデータ分析を行うためのデータ分析者としての心得と組織としてもつべき仕組みについて以下に挙げます。

1.「なぜデータ分析をするのか?」を明確にする。

この1.は8つの心得の中でもかなり重要です。1.はつまり結論を実証するためにデータ分析を行うのではなく「どういう洞察を得たいのか?」を明確にするのです。ある結論を実証するためにデータ分析を行うことを否定しているのではありません。結論ありきのデータ分析はデータ分析者がその分析結果を歪めるきかっけになったり、あるいはデータ分析者のモチベーションを下げたりすることが多いと言いたいのです。

2.今回行うデータ分析と関係のあるデータ分析が過去にもある場合は、それを明確にする。そしてデータ分析は過去に拘らず「どのような洞察を導き出しても構わない」ということを組織として担保する。

3.データ分析の手法を明確にし、「なぜその手法を採用したのか?」も明確にする。また採用した手法の限界や弱点を明確にする。これが分析結果の正確さと信用を担保します。

4.標準的な統計手法(例えば回帰分析、因子分析、平均値と中央値)を使用し、それを明確にする。但しそうでない手法、あるいは独自の手法を使用している際はそれを明確にする。

5.自分が行なったデータ分析に自分で出来るだけ批判を加える。またレビューを可能な限り行う。またその過程、結果も明確にする。

6.それまでに行われたデータ分析の結果と結論がある場合はそれと比較して今回の結果と結論を伝える。また因果がはっきりと確認できていないことを結論として述べるときはその旨を明確に伝える。

7.結論が出て、その確かめもできているのであれば、それを効果的に意思決定者に伝えるにはどうすれば良いかを考えるが、仮に、まだ釈然としないことがあればさらなるデータ分析が必要な箇所は何かを説明する。

8.分析結果を効果的に伝える道具(例:グラフやストーリー)は大切だが、むやみに喧伝するために言葉や画像、写真などをやたらと使わないようにする。

まとめ

データ分析者はデータを扱う以上、分析の手法や統計的な考え方といった技術の習得に努めることが大切です。また組織としてもデータ分析者と意思決定者は分ける、データ分析者の中立性を保証するなどの取り組みが必要です。


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