その従業員エンゲージメント向上、「一過性」で終わってしまいませんか?

従業員エンゲージメントとは

「エンゲージメント」という言葉は、ブランドや企業への思い入れを表す言葉で、「顧客エンゲージメント」と言うと、お客様がどれだけ自社製品やブランドに愛着を持ってくれているかを測る指標として、一方「従業員エンゲージメント」は、従業員が現在働いている会社に対して、どれだけ貢献したいと考えているかという愛着を表す指標として活用されます。

終身雇用が当たり前という時代ではその中で従業員エンゲージメントが自然と高まっていくことが普通でした。しかし現在のように良い待遇を求めて転職していくということが当たり前にだったり、労働人口の減少により採用環境がひじょうに厳しくなっている環境が加速している時代では、従業員エンゲージメントの向上が着目されるようになってきています。

さらに従業員エンゲージメントについては、ギャラップ社という会社を中心に様々な調査と研究がされており、

・従業員エンゲージメントの高い会社の営業利益率は低い会社の営業利益率に比べて1.5倍高い

・従業員エンゲージメントが高い社員の割合が1%向上すると、売上が6%アップする

などこの他にも、「従業員エンゲージメントと会社の業績は相関性がある」という研究結果が、世界各国で発表されています。従って「従業員満足度」の向上と違い、また単なる離職防止策とも違って、従業員エンゲージメントの向上は「業績にも直結する取り組み」と認識され始めたため、今多くの会社が従業員エンゲージメントに関心を寄せているわけです。

 従業員エンゲージメントは世界で最低レベル

 従業員エンゲージメントへの関心は高くても、熱意を持って主体的に仕事に取り組み成果を出して組織に貢献しようとするような従業員の割合が、日本は世界でもっとも少ないレベルにあるということが分かってきています。米国の調査会社ギャラップによれば、「熱意あふれる社員」の割合は、米国の32%に対し日本はわずか6%。「やる気のない社員」は約70%に上るそうです。(アンケートへの回答の仕方そのものが日本人は控えめになりがちな点は否めませんので本当か?という意見もあります)これはなぜなのでしょうか?

従業員エンゲージメント向上ブーム

今「従業員エンゲージメントを高めるには・・・」という情報はあふれています。「リーダーシップ」「チームビルディング」「サーベイ」「環境改善」「組織開発」「福利厚生の充実」等。しかしこれらの手法を導入し、測定値を改善すれば良いというものではありません。従業員エンゲージメントの向上はそれが一時的な向上ではなく持続可能なものである必要があります。なぜならそれでこそ業績向上に結びつくからです。

タワーズワトソン社は継続的な従業員エンゲージメント向上のために、以下の3つの「E」を掲げていることで有名です。

・すなわち会社の方向性を理解し、それが正しいと信じ、組織の成功のために全
 力を尽くそうとする意志があるか?<Engaged>

 ・エンゲージメントを持続させる環境として生産的な職場環境かどうか?<Enabled>

 ・エンゲージメントを持続させる環境として元気が出る職場にかどうか?<Energized>

 以上の3つの「E」、特に2番目と3番目の「E」が「持続可能なエンゲージメントに必要な要素」としています。表面的なところだけを改善するのでなく、エンゲージメントの低い真の原因を見つけて会社全体で改善をしないと継続的な従業員エンゲージメントの向上はないということでしょう。

従業員エンゲージメントが低い真の原因

多くの日本企業が早く仕事を終わらせようが、短時間で成果を出そうが、始業から終業までは会社にいなくてはいけないという点がまずは真の原因ではないでしょうか。

早く帰ったりすると給与を減らされてしまうことにもなりかねない・・・。その結果、能力が高かろうが低かろうが、ITを導入して業務が改善されようがされまいが、「時間が余らないようにスローペースで仕事をする」という癖が身についている、あるいは無我夢中で仕事をする、あるいは緊張感を持って仕事をすることがあまりなく、だから「やった!出来た!」という気持ちにもなりにくい。時間があるばっかりに「仕事のための仕事」「会議のための会議」も生まれやすくそれがまた効率を下げ、さらにその結果エンゲージメントが低下し、また効率が下がるという負のスパイラルに陥っているからではないでしょうか?

やってみないとわからないこと、誰もしたことがないことでも・・・。

 みなさんも経験があると思うのですが、「してみないとわからないこと」について「なぜ成功できるのか?のロジックを事前に説明せよ、そうでないとそのチャレンジは許可出来ない」と突っ込まれた経験はありませんか?こういったことが会社の中で多いと、従業員はチャレンジする気持ちを失い、結果無難な仕事をこなすだけになりエンゲージメントが下がってしまうのではないでしょうか?

それだけではなく、一人が「いいからやってみなはれ」と言ってくれても、他に何人もの人がそう言ってくれないといけない(公式・非公式両方の根回しが相当いる)となったらさらに「チャレンジする」=「面倒くさいこと」になってしまい、これもやはりエンゲージメントの低下につながりかねません。

使える人、器用な人、適応力のある人、人間関係を上手に作れる人が、重宝される

 以前NEXT人事評価制度(その2:能力主義から得るもの)の中でなぜ日本企業が職務主義でなく能力主義を人事マネジメントの考え方に中心に据えたのか?について述べましたが今でも多くの企業が能力主義を背景とした職能等級制度を人事評価制度に採用していると思われます。そこで評価される能力はどちらかというとテクニカル(強味になる専門技術)ではなくテクニック(業務遂行能力)であり、誰でもできる仕事ではなく、プロフェッショナルとしてあなたにしかできない仕事をしているという方向に人材マネジメントの舵を取ってこなかったため、自分の存在価値を高く感じる従業員が少なく、従業員エンゲージメントが上がらない原因になっているのではないでしょうか?

まとめ

従業員エンゲージメントを継続的に高め、業績向上に結び付けるには、組織開発等の手段もありますが、「働き方の基準」や「人事評価」を「時間」(何時間働いたか)ではなく「責任」(成果は出せたのか)に、あるいは「結果」だけでなく「プロセス」(チャレンジの奨励)に一部でもいいから変えること。そして会社の「コミュニケーション構造」の見直しを図るというこれら根本的な問題の改善に取り組んでいくことが重要です。


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