心理的安全性とアサーティブネス

【掛け合い】心理的安全性とアサーティブネス.jpg

「心理的安全性」とは?

「Psychological Safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学の用語で、チームのメンバーの一人ひとりがそのチームに対して、遠慮なく発言できる、自分をさらけ出せると感じられるような「空気」があるかないかという意味の言葉です。2016年にGoogleが公表した「他者への同情、あるいは配慮や共感といったメンタルな要素を担保することがチームの生産性向上のポイントである」という報告をきっかけに「心理的安全性」という概念が注目を集めました。

「心理的安全性」の研究の歴史は50年ある

1999年には、ハーバード大学のエドモンドソン教授が「チームの心理的安全性はチームの中でリスクをとっても大丈夫だというチームメンバーに共有される信念」という言葉を自己の研究結果とともに述べたことで特に注目されました。教授は組織論の権威ですが、その研究の中で「チームの心理的安全性がチームの学習を促し、チームのパフォーマンスを向上させる」(1999年)「業績を上げるにはチームメンバーの有能感(できそうだという効力感)よりも心理的安全性が重要で、そのためにはリーダーのサーバント型(支援型)のリーダーシップが必要である」(2011年)と述べていています。つまり心理的安全性は、業績を上げるには「チームが学習すること大切である」という組織学習論とともに重要視されてきた経緯があると言えます。

今再び心理的安全性が着目されるのはなぜか?

それは過去の成功事例や、マニュアル通りにやっても成果が出ないという今の時代環境にあります。先行き不透明かつ困難なチャレンジが求められる今の時代、チームや組織は「学習する」必要があります。挑戦や失敗から学ぶ必要があるからこそ、そんな時にチームの空気が「うっかりそんなことを言ったら大変なことになる」「本音など言えない」ではチームの学習は促進されません。だからこそ今チームに心理的安全性があるかないかが着目されているのです。

心理的安全性とともに着目されるアサーティブネス

「アサーティブネス」とは、「相手と対等にそして率直に誠実なコミュニケーションを図る」という考え方のことです。アサーティブネス(Assertiveness)は、直訳すると「自分の意見を断言する(押し通す)こと」という意味になりますが、そうではなく「自分の気持ちや考えを、相手の立場や考え方を尊重しつつ、相手の権利を侵すことなく、率直に伝える」という意味の言葉です。欧米を中心に70年代における人権擁護の思想と女性解放運動のなかで生まれてきた言葉で、それまで自分のことは後にして誰かのために生きてきた女性たちが、自分のことは自分で決める、自分自身のために生きるということを選択し始めたことが始まりだとも言われる言葉です。

「上司のあなたがそうだから皆が意見を言えない」ではなく「私がもっと若いメンバーを引っ張るので、助言をください」と上司に言う、また部下に「ちゃんと報告しろ」ではなく「報告は3日後の16:00に。レポートを付けて」と言うのもアサーティブなコミュニケーションです。「今は無理」ではなく「今は無理だけど明日14:00からなら時間がある」など、アサーティブなコミュニケーションは各人がコミュニケーションを取る上での小さな心がけに過ぎません。多くの人がアサーティブネスに注目するのは、心理的安全性がない職場が現実には多いからではないでしょうか。そんな中でもまずは一人一人がアサーティブなコミュニケーションに変えていくことで、チームに信用や信頼感が芽生え、やがてチームに心理的安全性ができてくると信じる人、実際にそれで変わった組織が存在し始めているため、アサーティブなコミュニケーションが着目されているのだと考えます。

まとめ

心理的安全性の高い職場はややもすると、その心地よさから職場が「仲良しクラブ化する」と言う意見が一方であります。雰囲気が快適なだけに、「現状維持」に流れる・・・と。心理的安全性の高い職場を作ろうとする際、アサーティブなコミュニケーションを皆が心がけるだけでなく、厳しさ、つまり互いが目標をしっかりと持ち、かつそれらがつながりをもって協働する「自律」という概念が今組織に求められています。

【参考ダウンロード資料】

人事のための「キャリア自律時代」の社内教育の在り方

従来の日本特有の雇用慣行は、「会社が社員の雇用責任を持つ代わりに、社員個人のキャリアを会社の都合でコントロールする」というものでした。
「会社による社員の“キャリア支配”と、社員の会社への“キャリア依存”とが一体となった雇用モデルです。しかし、こうした“会社任せ”のキャリア形成では、社員も会社も幸せになれない時代を迎えています。こうした中で脚光を浴びているキーワードが「キャリア自律」です。企業で人材育成を担う立場にある人は「キャリア自律」の本質をどのようにとらえどのように実現していったら良いのか? そのポイントとなる考え方をお伝えします。このレポートで最もお伝えしたいことは、人事の視点から見た「キャリア自律」の本質は「キャリア形成支援」ではなく社員の「自律性向上支援」である。ということです。どういうことだろう? ご興味のある方は是非このレポートをご一読ください。

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