仕事と心、両方のPDCAを廻していますか?

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学習する組織と学習する個人の必要性とその実態

変動が激しく、不確実で、かつ複雑であいまいなこの時代、組織も個人もその学習する力が問われています。そして経験から学ぶためには,単純に経験を積めばよいわけではなく一人ひとりが学習することを意識して、しっかりとした内省が出来ることが必要になってきています。これらのことは既によく知られていることです。

また最近ではPDCAサイクルの発展形とも言うべきOODA(Observe <観察>Orient<状況判断>Decide<意思決定>Act<行動>のような学習の仕方も話題になってきています。しかし現実に、皆さんの周りでも「同じような失敗を繰り返している」あるいは「わかってはいるけどやめられない」というような「学習をしている」とはとても思えないような出来事が起きているということが大なり小なりあるのではないでしょうか?

一説によればOODAのような手法は既に80年代から研究されてきているそうですが、ではこの約40年間でどれくらいの組織や個人がきちんと「学習をしている」と言い切れるようなったのでしょうか?

 中堅社員が一番学習出来ていない?

中堅社員と言えばその育成方法の中心はOJTや配置換えなどの「現場実践を通じて鍛える」という場合がほとんどです。まさに現場実践という経験から学ぶことが最もし易いレイヤーであると言えます。しかしそれが故にOFF-JT等におけるビジネスパーソンとしての「学習の仕方」の教育を受ける機会は新入社員や管理職層と比較してかなり少なく、学習が本人任せであるか、あるいは配属先の(学習の仕方を部下に教育出来ない)上司任せといったケースがほとんどではないかと思われます。従って、中堅社員ほど学習がされていないレイヤーはないと言われることがあります。

「内省支援が必要な中堅社員の内省プロセスの特徴の質的研究」(廣松ちあき・尾澤重知)と言う論文が「日本教育工学会」のサイトに今、掲載されています。論文では、中堅社員の学習の特徴として

1.「問題発生」→「原因を考える」→「対処」→「結果」→「再発防止策」という手順で行われている。つまりこれを「内省(学習)することだ」と思っている。

2.「他者からの働きかけ」により,自己の内面的特徴を多角的に検討することは内省として重要なことだと受け止めている。

3.内面的特徴の吟味過程で自分自身の仕事観・信念と仕事上の理想状態(上司や会社から期待される中堅社員像等)が葛藤すると,問題の本質的課題を理解しながらも課題解決に向けた行動に取り組めない。

4.さらに,中堅社員の業務環境の特徴である「忙しさ」や「学習する」こと自体への意味付けが,内省を「問題解決の経緯の想起」(いわば「対症療法的対応」)にとどまらせ,内面的特徴を検討する「深い内省」を妨げている恐れがある。

という研究結果が述べられています。職場での「振り返りミーティング」や「上司と部下による1対1のミーティング」の重要性が叫ばれている昨今ですが、この結果から見る限りそれらの不実施(効果への疑問や時間捻出の困難さが原因と言われ)も手伝って中堅社員の学習はきちんと行われていないことがこの研究では明らかになりました。(この研究は今後も継続されるそうです)

上司によるOJT を通じた内省(学習)支援

上司から、「そこそこの業績を挙げているが、経験からの学びが不十分で同じ失敗を繰り返すあるいは大きく飛躍できない」とみなされがちな中堅社員層は、実は自己の本質的課題を理解していながらも行動を変えられないでいることが明らかになり、かつ上司の言う事は学習に取り入れることを是としていることからすると、上司が的確に内省(学習)支援をすることで中堅社員層の学習が効果的に行われるようになることが期待できます。

上記の論文の中でも新任管理職に対して行う内省支援のように「強みである価値観を捨てろ」(名プレーヤー名監督ならず)という支援ではなく「本人が自分の置かれている状況を検討し,変化することのメリットとデメリットを熟考すること」を促す.さらにその過程において「自身の価値観や信念と向き合い,自分の価値観・信念を否定することなく,それらが「周囲の状況に合わせて適切に反映される行動や自分のあり方」を選択できるように段階的に支援する」と述べられています。

まとめ「仕事」と「心」、両面の内省(学習)を行う

上記の論文の中では今後の課題として「中堅社員の内省支援方法の一層の検討と実践による検証」「内省を問題解決と捉える組織風土と職場の支援環境の考慮が必要」また、「キャリア発達過程における仕事観・信念の形成と内省の効果の検討」を挙げており、中堅社員の学習力の問題が単に上司や部下という1人称の能力に起因するものではなく、組織の問題として捉えるべきだと述べて締めくくられています。

つまり目標計画決定時や進捗状況の管理時に「仕事の管理」と「心の育成(学習)」の両立させることを是とする組織風土が今、企業には求められていると言えます。


【参考ダウンロード資料】

企業人にとっての「キャリア自律」の本質を見誤るな<上巻>

真の「キャリア自律」を背景に、「外発的動機」ではなく、「内発的動機」 による職務遂行の観点から「内省」の方法を述べています。
下巻ではさらに、その具体策も述べています。ぜひお読みください!


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