評価の寛大化傾向に注意!(昨年度の評価傾向は如何でしたか?)

寛大化傾向とは?

よく評価者研修などで人事評価におけるエラーのひとつに挙げられもので、評価者の評価が甘すぎる傾向にあることを言います。(具体的には被評価者の評価に「S」や「A」といった良い評価ばかりつけるなど)原因としては、

 

・評価に必要な、評価期間中の部下の事実をよく見ていないから

・景気付け(良い評価を付ければ本人もやる気になる)と考えているから

・悪い評価を付けるとフィードバック(評価面談等)で嫌われるから

 

などが挙げられます。特に「景気付け」はきちんと行動して成果を出した人までがやる気を失うということにつながり良くありません。

また本当に「悪い評価」だったならば、次の期間では行動を改善してもらわないといけないことを伝える良いチャンスのはずです。きちんとした指導をされなかった人は後でそのことで評価者をもっと嫌いになるかもしれません。

 

中心化傾向という評価エラー

これは「B」、つまり「普通」という評価ばかり付けると言えばわかりやすいでしょうか。原因として、

 

・評価者として自信がない

・被評価者の立場に立ったつもりになっている(無難に終わらせたい)

・「差別反対」「人は何人も平等だ」「自分は神ではない」などの確信犯的理由から

 

特に企業にとって大切な人材マネジメントの手段のひとつである人事評価を否定することになる確信犯的な行為は評価者としては失格と言われても仕方がありません。

 

昨今の寛大化、中心化傾向の背景にあるもの

以前NEXT人事評価制度(その1:年功主義から得るもの)で述べましたように年功主義は、企業社会の「同質性」に対応した人材マネジメントのコンセプトです。

 

現在の働く人の価値観の多様化、ダイバーシティなどはこの同質性に大きなインパクトを与えています。同質的な中にいれば特に意識はしませんが、異質な存在を認めなければならなくなったときに、今まで人材マネジメントでは立ちいかなくなるのだと初めて気がつくものです。

「徹夜をしてでもやれと部下に言ったら、『そういう要求をしてはいけません』と人事から言われた」「厳しく指導をしていたら、パワハラだと言われた」というようなこともどんどん起こってきています。バブル経済崩壊後、NEXT人事評価制度(その3:成果主義から得るもの)でも述べたように、経営の立て直しに努力してきたことが、今、否定され始めています。

 

それでも人材マネジメントの在り方を変えない、ダイバーシティなどの時代の変化を受け入れない管理職が多く、各企業はコーチングやコミュニケーションの研修、あるいは360度評価などの教育でそういう管理者に反省を促してきました。

 

これらの過程を経て、最近は、中間管理職にある現象が起こってきています。「厳しく指導すると『辞める』と言われてしまうので注意しない」「部下が知らない間に人事部に相談に行き、人事部からマネジメントについての改善の指摘を受けてしまった」等の声をよく聞きます。管理者が「思い切ったことを出来ない、言えない」といった「弱腰」と言うか「戦意喪失」とでもいう現象が増えていると思われます。

 

その結果、それが人事評価においては寛大化傾向や中心化傾向に現われ、評価を甘くしたり、人気取りに走ったりすることに結びつているのではないでしょうか。

 

評価基準を見直す(中間管理職のせいにしない)

人事評価は、業績を向上させていくために人が人をマネジメントするための手段の一つであり、「信賞必罰」という権限を背景に、部下に望ましい行動をさせていくためのものです。

 

単純に言えば「やるべきこと」 (評価基準) と、「どこまでやれたのか」(実績)を比べて評価をすればよいだけです。しかし、それがやりにくくなっているのは評価基準に「ダイバーシティ」の観点を盛り込み多様化することが出来ていないからで、もしそうだとしたら、一概に「評価を甘くし、部下の人気取りをしてけしからん!」と中間管理者に責任を押し付けるのはあまりに酷です。

 

スタッフ職にはスタッフ職なりの、営業職には営業職なりの評価基準というように、仕事の性質に合わせた評価基準を考えて、「ダイバーシティ」を組み込む必要が今起きています。

管理者はその評価基準を通じてメンバーにメッセージを発信し、そのうえで現場での活用をしてもらうことが必要とされています。

 

評価者のためのメンター機能

今の時代、説明責任に対してのシビア?な要求の風潮は皆さんもご存知の通りです。人事評価の際の被評価者へのフィードバックも説明責任であり、評価者からするとその説明にシビアな要求がくるのは当然予測でき、相当なプレッシャーを感じるはずです。そのプレッシャーに負けて、「寛大化傾向」を持たせながら、「臭い物にはふた」で問題を隠してしまわないとも限りません。

 

また評価者自身が「事実情報がこれでは足りないかも」と悩んだり、「話下手」でフィードバックに自信が持てなかったりすることも現実にあります。これらはまじめに評価をしようと思うからこその悩みでもあります。現実に評価者は、部下の年収を何百万円も減らせる権限を持っています。悩まない方が不思議であると言えます。

 

そこで評価者がきちんと評価に取り組めるためには、以下のような支援が必要です。

 

・悩んだときのメンター機関の設置

・評価についての会社としての共通の価値観

・管理者同士が相談できる環境

 

人事評価が難しい時代だけに、評価者を孤軍奮闘させない仕組み作りが必要です。

 

まとめ

少子高齢化、価値観の多様化といった変化に合わせてマネジメントの役割が変わるとすれば、人事評価のあり方もそれに合わせて変える必要があります。また評価者任せにせずその在り方を企業全体で変えていく必要があります。

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