中途採用の社員にも導入教育は必要か?

教育不要だからこそ採用した?

中途採用の社員は「教育不要の即戦力」として採っているのだから、それに教育に時間をかけては本末転倒」との声がよく聞かれますが本当にそうでしょうか?

中途採用の社員は仕事の経験がある程度あり、社会人としての経験もあることから「みんな忙しそうだし…」と聞きたいことを飲み込んでしまったり、あるいは「即戦力として期待されたのだから、早く実績を出さねば…」という焦りから、周囲への相談をしない…など中途採用者には中途採用者なりの特徴があり、その特徴のせいで実績を出せなかったり、周囲と人間関係がうまくいかなかったりという問題がよく起きます。

確かに、新卒社員ほどの多くの時間がかからないにせよ、「これだけは行なっておくと良い」導入教育について以下に述べます。


1.自社の経営理念(価値観)を経営幹部から伝える

「価値観」とは「文句無しに、『それ』を尊ぶ気持ち」のことです。また「人はそのためにはためらわず努力をし、時間を惜しみなく注ぎ込むもの」でもあります。

中途採用の社員に、「以前の会社と、今の会社では価値観(経営理念)が違うんだな」と思って仕事をしてもらわないと、努力の方向、時間の使い方が狂ってきます。つい、前の会社の価値観で仕事をしてしまいがちなのが中途採用の社員なのです。

例)「仕事は与えられるもの」(前の会社)→「仕事は自分で作るもの」(今の会社)
例)「売らんかな」     (  〃 )→「売ってからが本当の貢献」(今の会社)


またなぜ経営幹部が話すのか?については、「会社(全社)として期待している」という気持ちが経営幹部が話すことでより伝わり、そのことで中途採用の社員の気持ちも引き締まるという理由もありますが、最大の理由は「経営理念」(価値観)を伝える際に、それが単なる「スローガン」として中途採用者に伝わらないようにするためです。
そのためには「なぜ今この経営理念(価値観)でうちはやっているのか?」という、経営理念(価値観)決定の背景や理由を説明する必要があり、それを出来るのが多くの会社では経営幹部であるケースが多いので、「経営幹部から伝える」としたわけです。但し、経営幹部でなくても、次のようなことがきちんと説明できれば良いと思います。

1.自社の歴史(変遷)
2.今の経営理念(価値観)が生まれた背景
3.自社の社会での存在価値
4.価値観を理解できるように、価値観を体現したような過去の出来事(事実)

2.現場の戦略・方針・課題と期待している役割を明確に伝える

現場は何を目指していきたいのか?そしてその中で、中途採用の社員としてどんな役割を果たして欲しいのか?これらを知って、自分として経験をどう活かしていきたいのか?を直属の上司
と擦り合わせます。

これを行った方が良い理由は「期待することによって、対象者からやる気が引き出され、成績が向上する」(ピグマリオン効果)「逆に、周りから期待されていない対象者の成績や成果が平均値を下回る」(負のピグマリオン効果)というのも少なからずありますが(←実験に不備があって必ずしも正しい学説ではないという意見もあります)、それ以上に中途採用した社員が活躍できていないという場合、このような基本的な事柄の共有がうまくできていないのにもかかわらず、業務を覚える・業務に取り組むということが優先され中途採用した社員が「どのように立ち回ったらよいのか?」を把握できていないため「業務はきちんとこなすものの当たらず触らずの社員」になってしまうことが多いからです。

3.基本スキルと規則は人事・総務・情報システム管理が教える


全社に共通するITシステムの使用方法、伝票や申請書の書き方,報告や連絡の仕方、日々の仕事の進め方等は現場に出る前に、人事・総務・情報システム管理が教えるべきです。

これらのことを、中途採用の社員に「現場の社員に聞いてくれ」としてしまうと、中途入社の社員は実際には不明な点があっても「誰に聞けばいいのかわからないからいいや」あるいは「くだらないことを忙しいのにいちいち聞けない」と思ってしまい、勝手に仕事を進めて思わぬミスをするケースが多いものです。

また、よしんば周囲に聞けたとしても、質問される側が、「中途採用の社員からの業務中の質問が多くて仕事がなかなか進まない!」と、その苛立ちを中途入社の社員にぶつけたり、冷たく対応することで、中途入社の社員がその後質問をしなくなってしまうケースも散見します。

そうならないためにも、このような内容は、人事・総務・情報システム管理等の部署が担当し、教育を済ませておく必要があります。そうすればこういった問題は起きません。但し、中には一度聞いてもなかなかすぐ理解出来ないこともあるので、「レジュメ」にして本人に渡し、分からないときはそれを手引きに、またこれらの会社共通の基本的なスキルやルールに関しては「いつでも質問に来てよい」として、入社後しばらくは人事・総務・情報システム管理部門の方で面倒を見たほうが良いと思います。

まとめ

中途採用の社員にも導入教育は必要です。
「朱に交われば朱くなる」という言葉通り、既存の社員の間に溶け込むのと引き換えに、中途社員採用の最大のセールスポイントである「異質な経験からくる斬新な視点・発想」が発揮されず、「可もなく不可もない既存の社員と何ら変わらない社員」になってしまっている・・・ということにならないように、入社して少なくても1週間以内に「経営理念」「期待役割」「基本スキル」についてきちんと教育をする必要があります。

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