TOTとANTの関係とは?

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御社に、研修の「定着戦略」はありますか?3
~ 社内の仕組み/ツール/場と研修を連結させる ~
弊社のお客様が企業の社内制度,仕組み,ツール,場などと研修とを連結させての定着策を4つご紹介します。



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部下の心を知るには3日かかるが…


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上司の心は3時間で分かる!


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それだけ部下は上司をよく見ているってこと!


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上司の影響は絶大ですからね!


まとめ1.png研修転移の成功も上司次第ですか?
まとめ2.pngいいえ。人的要因以外も大きいです。

TOT(Transfer of Training)現場の上司次第?


TOT(Transfer of Training)=研修転移(研修で学習したことが現場で活かされ仕事の成果に結びつけること)ではTOTを左右する重要な要因として

1.上司の部下の研修での学習内容への支持姿勢
2.上司が学習内容の活用の機会・時間を与える
3.上司が日常業務との適合させる

の3つが大きく取り上げられます。しかし、それだけが原因でしょうか?本当に職場の上司、あるいは先輩がしっかりしていれば研修転移は成功するのでしょうか?

人と人だけでなく現場のアーティファクト(非人間的要因例えばツール、仕組みなど)つまり社会的・人的要因だけでなく非社会的・非人的要因も含めて考える必要があるのではないでしょうか?
昨年発表された九州産業大学の伊藤准教授の仮説(知見)などから考えていきたいと思います。

※伊藤精男氏
専門:人間環境学
専攻分野:経営学
研究テーマ:企業組織における人材育成、学習環境のデザイン
※研修効果の転移条件-アクターネットワーク理論の視点から-
単著 2017年8月25日九州産業大学経営学論集(28巻1号) 27-44
http://repository.kyusan-.ac.jp/dspace/bitstream/11178/310/1/02_Itoh.pdf


ANT理論とは?

端的に言うと、主観が入りますが、科学技術社会論の研究者であるCallon(1986年)等により、「社会的事象は様々なアクター(Actor)が参加するネットワークにより形成される。つまり人・モノ・社会・技術・自然が相互に関連を持って存在する状態中で起き、それらはすべて自律したもので対等であるとする理論」のことだと解釈できます。

例えば「経理をしているAさん」は一個人で仕事をしているのではなく、AさんとPC、メール、筆記用具、また同じ課のメンバーと仕事をしています。つまり「経理をしているAさん」はこうした「集合体」として形成され、仕事をしており、このような「異種混交のネットワーク(Hybrid Network)」が形成されなければ「経理をしているAさん」たりえないという考え方をするのがANT理論です。

そして「Aさんの経理能力」を「単にAさんの内側にある属性」と見ず、Aさんの周りに存在する他人(人的アクター)、や自然物・人工物(非人的アクター)と不可分のものと見て、「人の行為や能力」は環境によって変わり、どのような異種混交のネットワークを構成するかによりその行為や能力発揮の可能性は変わるとする理論だと思います。

よって人の行為や能力を考えるときは人的アクターのみならず非人的アクターとの関係も含めて考える必要があるとし、人は他人(人的アクター)が変わっても行動にその影響を受け、道具(非人的アクター)1つ変わってもそれは人の行動に変化を起こす可能性があると理論の中で指摘しているのでしょう。

「TOTを考えるときには人(上司)だけでなく、人とアーティファクト(非人的要因)両方の関係を踏まえて考える必要がある」ことの1つの根拠になるのではないでしょうか?

境界的オブジェクト(Boundary Object)とは何か?

これはStarとGriesemer(1989年)が述べている(これも主観が入りますが)「異なる環境同士を媒介する道具や仕組みのこと」だそうで、例えばTOTで言えば、「研修」と「現場」という異なる違う環境の間で、研修で学習したことを現場で活かすために必要な(ANTで言う)アーティファクト(非人間的要因:道具や仕組み)もののことだと思われます。
言い換えるとTOT成功の重要なポイントに当たるものと言えそうです。

また「境界的オブジェクト」を新規作成、及び既存のオブジェクトを改善する時のその内容・方法の検討のポイント、つまりTOTを成功させるようなオブジェクトにするポイントは

1)現場の事実(実情)を踏まえたものであること
2)当該現場の特殊性を考慮したものであること

だそうで、前述の伊藤准教授曰く「このオブジェクトは(伊藤准教授は異種混交のネットワークの中にこのオブジェクトも含まれるため、オブジェクトだけでなくネットワークそのものを)「静的」でなく「動的」に(状況・時間を踏まえて)捉える必要があると述べていらっっしゃいます。

これは例えばツールや仕組みに慣れるまで時間が必要だったり、仕組みを変えると戸惑い、煩わしさからその活用が進まず、それを改善するのに時間や教育を要したりということがありますが、伊藤氏はそのことをおしゃっているではと推察します。

ここまでをまとめると

1.TOTを成功させるには上司といった「人的要因」だけでなく、
  ANTで言う「非人的要因」にも配慮する必要がある。

2.「非人的要因」の中でも「境界的オブジェクト」はTOT成功の
  鍵を握る1つ。そのためにオブジェクトを現場の事実、特殊
  性、時間軸を考慮して作成・改善する必要がある。

と言えるのではないでしょうか?

ANT視点で見た
TOTの成功例と失敗例

伊藤准教授は上述の論文の中で氏の多くの研究、実践、検証の中からANT視点でのTOTの成功例と失敗例を1つずつ挙げて、論文を締めくくっています。それを掻い摘んで(詳しくは上記URLに論文が掲載されています)挙げてみます。

【成功例】(リーダーシップ研修<アクションラーニング型>)

サーベイや討議により自分のリーダーシップの課題がメンバーとの「情報共有」や「共感性」にあると研修で知ったある管理職が従来の朝礼での一方的指示の改善を決意。しかし、自分はプレイングマネジャーであるため全員パートであるメンバーと会話する時間は外出が多いことで不可能であり、パートであるメンバーも限られた時間の中での業務遂行であることを十分考慮し、従来からあるパートとの「業務日報」に「一言コメント」を追記して返却(パートのメンバーからの返信も可能な双方通行のもの、ねぎらいなども記入)(←境界的オブジェクト)を研修で計画、半年間意欲的に実践して上記の課題を克服した。

【失敗例】(営業プロセス改善研修<外部コンサルタント活用>)

平均30件訪問/日というルート営業パーソン達が、既存顧客へのサービスを絶やさず関係を維持・継続させるだけでなく、経済環境の悪化による売上向上の鈍化からその既存客へのさらなる売込み、プラス新規の顧客開拓の成功を模索していた。そこで「提案営業実践」のための営業プロセスの改善(特に今まで商品紹介するだけだったものをニーズのヒアリングを行い顧客の望んでいるものを売るという改革がキーポイント)とその「見える化・共有化」による営業活動の適切な対処を狙ってシステムを導入したが活用されなかった。

「過去の成功体験に裏打ちされた短期決着型商談スタイル」「記入の手間」そして「キャンペーン押し込み型の施策の継続」などを含む「異種混合ネットワーク」により、新システムは「境界的オブジェクト」に成り得ずシステムは活用されなくなったと推察される。

まとめ

TOT(研修転移)にANT(人と人以外が形成するネットワークが社会事象を起こす)の考え方を活用して、研修転移を上司次第と考えず現場の仕組みや道具、方針にも目を向けて考える必要があります。

下記
に弊社のお客様のANTを踏まえてのTOTの実例集を掲載しました、ぜひご活用ください。 

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