
営業革新
BtoB営業のやり方を変えるためのポイント

「変化が常態化」した市場環境を背景に、各企業で収益の確保が難しくなっています。そういった中、各社「勝ち残り」のための戦略転換が喫緊の課題となっており、様々な手が打たれています。しかし、「勝ち残り戦略」実行のための手を打っているものの、なかなか功を奏さない現実があるようです。なぜ、打ち手が功を奏さないのでしょうか?どうすれば戦略が組織に定着し、狙った成果を出し続けるのでしょうか?本レポートは、これまで私たちがお手伝いしてきた製造業・卸売業の営業教育の中で見えてきた、「お客様から支持され業績を上げ続けている営業パーソン」が実践している『仮説提案型営業』のエッセンスをお伝えします。製造業・卸売業の経営者・営業責任者、必見の一冊です。
藤見マネジャー!
新たなマーケティング手法を導入してしばらくたつが、
まだ目に見える様な成果が出ていないようだな?
えっ!いやっ、そのっ、あの~~~~
まだまだ現場のレベルが追いつていないようで・・・
現場では何か変えた事はあるのか?
も、もちろんです・・・
例えば?
とにかく、お客様のもとへ足しげく通って
訪問頻度を上げるよう指導しています!
お客様と会えれば、何とかなりますから!
??・・、それでお客様とは会えているのか?
それが実は・・・、
中々お客様とも会いにくくなっていまして、
会えても良い話になりにくいようなんです・・・
バカもん!!
だから新しいマーケティング手法を導入して
営業を変えていこうとしてたんじゃないのか!!
はっ、はい!!
まずは、藤見マネジャーがパラダイムを
変えていく必要があるようだな?
はい!承知しました!!
(パラダイム?パラダイスの仲間?ポジティブシンキングの事かな~~??)
最近になってBtoB営業に関しても、マーケティング手法などが注目され、実施に踏み切る企業が増えていると聞きます。ただ、実施に踏み切っては見たものの成果があまり出ていないという声も多く聞きます。BtoB営業のやり方も変えていく必要性は感じていますが、まずは何から手を付ければ良いでしょうか?
これまでもBtoB営業のやり方に関しては、さまざまな変化が求められてきましたが、現代ほど変化を求められている時代はないと思います。なぜなら、お客様の購買意思決定プロセスが大きく変化しているからです。しかし実態は、変化に対応できない営業組織が多く、そこには、営業の中に根深いパラダイムの存在があるようです。今回は、パラダイムに注目した「BtoB営業のやり方を変えるためのポイント」をご紹介します。
BtoB営業における顧客購買意思決定プロセスの変化
結論から言えば、従来型のBtoB営業の手法が機能しなくなっています。その最も大きな要因の一つが、AI・IT化による顧客の購買行動の変化に対応できていない事でしょう。
従来型のBtoB営業は商品やサービスの提供側(営業側)が情報を多く握っていて、顧客が情報を得るためには営業に会わなければならない、という事を前提に成立しています。
- 情報提供を切り口に顧客に接触し、
- アポイントを取得し、
- 顧客の知らない情報を提供し、
- 徐々に興味を喚起し、
- その工程を通じて顧客との信頼関係を構築し、
- 購買につなげていく。
これが多くの企業で行われているBtoB営業ではないでしょうか。
しかし、前述したようにAI・IT化によって、顧客の情報収集力が高まっていることは周知の事実です。場合によっては、営業マンより顧客の方が、商品やサービスの関連情報や競合情報などを知っている、なんてケースもあります。当然、この事実は顧客の購買行動にも変化を与えています。ある調査によると、営業との接触前に購買意思決定プロセスの約6割を終えている、というデータ結果も出ているほど、従来型のBtoB営業のやり方が通用しにくくなっています。
では、もっと顧客の購買意思決定プロセスの前工程で顧客に接触し、アポイントに繋げれば何とかなるのでは?といった声もよく聴きますが、こちらも難しい状況です。働き方改革に代表されるように、各企業の現場では「業務効率化」が叫ばれ、短時間で効率よく仕事を進めることが以前にも増して求められている状況です。こういった状況の中で、実際に購入するかどうかも分からないまま、また、どれだけの情報が得られるかどうかも分からないまま、営業マンに会う時間を作るよりも、インターネットで大まかでも情報を集め、ある程度絞り込む行動をとる方が効率が良いのです。
BtoB営業現場のパラダイム
顧客の購買意思決定プロセスが変化ししているものの、現場の営業マンは変わっているのでしょうか。結論から言えば、多くの企業で「営業は変わっていない」状況と言えるでしょう。特に、現場の営業のパラダイムシフトが進んでいない状況は多くの企業で目にします。パラダイムとは、ある時代のものの見方・考え方を支配する認識の枠組み、の事です。私たちが、営業革新のお手伝いをする際に、よく目にする営業のパラダイムをまとめましたので、皆さんもチェックしてみてください。
- 営業は質問でお客様をコントロールするために、“立て板に水”のごとく、話し上手でなければならない
- 質問することがなくなると、「何かお困りごとはございませんか?」と質問する
- 「御社の業界では~という問題が多いとお聞きしますが、御社ではいかがですか?」と自分が売りたいものに引っかけた質問
- 聞いているだけで提案しない。「売り込む前にニーズをよく確認して」と言っているうちに、御用聞きのような受け身になってしまう
- お客様の断り(反対)を恐れる/避ける/反対が出ないようにする
- お客様と人間関係を作るには、ちょくちょく顔を出すのが一番だ
- 課題解決営業の皮をかぶった売り込み営業
いかがでしょうか?ご自身または周りの営業をみて思い当たる点はありませんか?こういったパラダイムのシフトが進まない背景には「モノ・サービスを作れば売れた時代の認識から、顧客の購買意思決定プロセスの変化を踏まえた認識に変わっていない」と考察しています。だから、競合との差異化が図れず、営業戦略が思うように進んでいない企業が多いのではないでしょうか?
BtoB営業のパラダイムシフト
どのようにパラダイムシフトしていけば良いのか。今の時代に照らしたものをまとめましたので参考にしてみてください。
- お客様のお役に立つには、お客様の状況や考えを理解しなければ始まらない。話し上手より聞き上手(質問上手)を目指す
- 「何かお困りごとはございませんか?」と質問された瞬間、お客様は売り込まれることを警戒し口を閉ざしてしまうので、この質問は禁句
- 自分の意見をクローズ質問で聞くのではなく、お客様の取り組み状況や考えをオープン質問で聴くことを習慣化する
- お客様の課題解決に役立ちそうな情報を積極的に提供し、その情報提供をタタキ台にお客様の状況や考えを聴く
- お客様の断り(反対)は、お客様の状況や考えを聴き出すチャンス
- お客様も忙しい。だから要件とタイミング見計らって訪問する
- 課題解決営業実現のために、仮説を提言した上で、お客様の問題を聴き出し、解決策を一緒に考える
要するに、お客様の状況や考えを理解しなければ始まらないため、状況や考えを教えてもらえるような働きかけをしましょう、という事です。
まとめ
デジタルマーケティングやアカウントベースドマーケティングなど、最近になって新たなBtoB営業のやり方や手法が注目されています。一方で、BtoB営業はBtoC営業に比べ、受注までのリードタイムが長いため、顧客との関係を維持していくうえで、営業個人の力に頼る部分が多いのも事実です。だからこそ、営業のパラダイムを変えていくことも同時に考えていかなければ、顧客との関係維持は難しくなることでしょう。
もちろん、パラダイムを変えていくことは簡単なことではありません。しかし、どんなに新しいやり方や手法を取り入れたとしても、肝心のパラダイムが従来のままでは、新しいことも活かすのは難しくなるでしょう。
まずは、顧客の購買意思決定プロセスの変化の事実を掴み、その変化に対して、阻害する従来のパラダイムを知り、何をどう変えていくのかを把握していくことから始めてみましょう。

「変化が常態化」した市場環境を背景に、各企業で収益の確保が難しくなっています。そういった中、各社「勝ち残り」のための戦略転換が喫緊の課題となっており、様々な手が打たれています。しかし、「勝ち残り戦略」実行のための手を打っているものの、なかなか功を奏さない現実があるようです。なぜ、打ち手が功を奏さないのでしょうか?どうすれば戦略が組織に定着し、狙った成果を出し続けるのでしょうか?本レポートは、これまで私たちがお手伝いしてきた製造業・卸売業の営業教育の中で見えてきた、「お客様から支持され業績を上げ続けている営業パーソン」が実践している『仮説提案型営業』のエッセンスをお伝えします。製造業・卸売業の経営者・営業責任者、必見の一冊です。